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お知らせ

高齢期での脱水症状における注意点

 和歌山市の新型コロナウイルス感染者数も減少傾向になってはいますが、6月の未来塾も、なるコミにおいて万全な感染対策を行いながら、なるコミ聴講(限定20名)とZoom研修でのハイブリッド研修を行いました。今月のテーマは、「高齢期での脱水症状における注意点」でした。講師は、濱端 俊旭先生(訪問看護ステーション えいと 管理者)(以下、先生)にご講義いただきました。
今月の参加者は、Zoom参加者:12名(最大)・なるコミ聴講:15名:合計27名でした。
ご参加された皆さま、有難うございました。
 
 今月の講義も、イラストを用いて、脱水における、定義・種類・原因・症状・予防と対処法について分かりやすくご講義いただきました。
 私たちのカラダは生命を維持する為に必要不可欠な「体液」と呼ばれる水分で満たされており、なんらかの原因で体液量(水・電解質)が減少している状態が脱水の定義であるとの説明がありました。また、体液には、血液や尿、唾液、リンパ液等も含まれているとのことでした。必要不可欠な量の目安として、子どもは体重の約70%、成人は約60%であり、高齢では約50%と加齢に伴って必要不可欠な「体液」の量が減りつつあるそうです。
 次に脱水の種類別として、電解質より水分の方がより多く失われ、体液が濃くなっている状態の高張性脱水(水欠乏性脱水)・水分よりも電解質が多く失われている状態の低張性脱水(Na欠乏性脱水)・水分と電解質が同等の割合で失われている混合性脱水の3種類があるとの話しでした。脱水の原因として、意識障害や様々な機能障害による水分の摂取不足、利尿作用のある薬剤の服用や高温高張性脱水下の環境による水分の過剰喪失、汗・創傷からの滲出液排出による皮膚粘膜からの喪失、多量の嘔吐・下痢による消化液の大量喪失等が挙げられました。高齢になると、高張性脱水と等張性脱水(混合性脱水)に陥りやすいので、気を付けて欲しいとのことでした。
 脱水症状の兆候として、脱力感・微熱・倦怠感等・口渇・口唇・舌の乾燥・皮膚ツルゴール反応低下等が表れ、また頻脈や血圧低下等であっても、脱水を疑ってもらいたいとの話でした。ちなみに、皮膚ツルゴール反応とは、手の甲の弾力性の反応のことであり、脱水状態だと、手の甲の皮膚をつまんでできる皺の戻りが2秒以上掛かってしまうことがあり、脱水状態を示す指標の1つにしてもらえたらとの紹介がありました。先生自身も、訪問先で、喉の渇きや口渇等の訴えがない人にツルゴール反応実施した経験があり、結果的に脱水予防に繋がった経験があるそうです。さらに、「かくれ脱水」についての説明もありました。「かくれ脱水」とは、体重の1~2%の水分が失われて、脱水症の一歩手前の状態のことであり、就寝前の水分摂取を制限する方、加齢に伴う感覚低下等で気温や湿度等の対処が難しい方に起きやすいので、訪問時には声掛けや換気を使用するなど予防に心掛けて欲しいとのことでした。
 高齢期における脱水予防・対処法として、快適な室温、湿度を保つ、こまめな水分補給、発熱、発汗の際は、経口補水液OS-1のような電解質を含んだドリンクも取って欲しいとのアドバイスがありました。こまめな水分補給に関しては、イラストを用いて、1日を8回に分けて、1回コップ1杯 約150~250mlの水分を飲用することが大切であると話されました。実際の訪問に話として、当院在宅診療部 部長 池側より、話をしてもらいました。自宅や高齢者施設の訪問時には、部屋の温度が高い人や、服や布団も冬用の厚手のもので生活している方も多いようです。本人様にはしっかりと脱水の注意点について説明し、水分摂取を促したり、また換気やエアコンを使用し、適切な温度管理を行ったりしているが、実際は、すぐにエアコンや窓を元の状態に戻されてしまうことが多々あるようです。声掛けや促し等、関係スタッフ皆で取り組んでいく日々の積み重ねが大切であるとのことでした。
 最後に、今回の研修を通じて、見逃してはいけないサインや予防法について学ぶことができ、私達の支援の中で、少しでも脱水予防に努めていけることができるのではないかと感じました。濱端先生、遅くまでありがとうございました。
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