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お知らせ

糖尿病をもつ高齢者ケア

全国的に新型コロナウイルスの第7波が到来し、和歌山県の感染者数も急拡大となっています。そんな中ではありますが、7月の未来塾も、なるコミにおいて万全な感染対策を行いながら、なるコミ聴講(限定20名)とZoom研修でのハイブリッド研修を行いました。今月のテーマは、「高齢期における糖尿病での注意点」でした。講師は、佐藤 晋一先生(医療法人 有紀会 さとう内科 理事長)(以下、先生)にご講義いただきました。
今月は、感染対策のため、Zoomでのご参加の方が多く、Zoom参加者:19名(最大)・なるコミ聴講:6名:合計25名でした。
ご参加された皆さま、有難うございました。
 
 今月の講義も、イラストや動画(3分間×2コマ)を用いながら、糖尿病とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシ)について、糖尿病を持つ高齢者の特徴や健康管理について分かりやすくご講義いただきました。
糖尿病とは、血管内の糖分が多くなっている病気であり、高齢になるにつれ、糖尿病の患者数も増加傾向となっているとのことでした。原因としては、①インスリン分泌の低下、②活動量減少によるインスリンの抵抗性、③遺伝と環境面について挙げられました。高血糖からの合併症を引き起こさないようにすることも、糖尿病治療として重要であると話されました。治療において、HbA1cの数値がよく用いられ、血糖コントロールの指標の一つになるとのことでした。ここで、HbA1cについての動画を流していただきました。HbA1cとは、赤血球の中のヘモグロビンがブドウ糖と結合し変化したもので、ヘモグロビン中のHbA1cの占める割合(%)がHbA1cの値であるとのことでした。採血時、高血糖状態が改善していても、HbA1cは、すぐに値が下がらないという特徴があるため、過去1~2か月間の血糖コントロールについて推測ができるという話でした。HbA1cの目標値として、7%未満が合併症予防につながるため、多くの患者が目標とするが、低血糖などで、治療の強化に支障がある場合は、8%未満と少し甘くすることもあるそうです。
次に、糖尿病を持つ高齢者の特徴について、①何気ない感染症から、重症化がしやすく、体調の変化も大きい。②糖尿病だけでなく、他の病気を併せ持っており、薬剤の服用など治療が複雑になりがちである。③要介護や独居などで、自身で管理やコントロールが難しく、周囲のサポートや環境も考慮しながらの治療が必要である。④高血糖や低血糖の原因により、フレイルやサルコペニア、うつ状態、認知機能低下などの老年症候群が通常の約2倍程度起こりやすいため、老年症候群の予防による、QOLの維持・向上も治療の重要な目的であるとの4つを示されました。
 糖尿病を持つ高齢者の健康管理についての説明がありました。HbA1c目標値のイラスト表を示され、年齢や認知機能・身体機能、併存疾患、重症低血糖の様々なリスクにより、一律の目標設定が困難であり、また、低血糖リスクの薬剤使用においては、血糖の下限値を決めておくことが、大切であると説明されました。食事の栄養摂取比率においては、炭水化物を50~60%、タンパク質を20%以下、残りを脂質で摂取することが望ましく、フレイルやサルコペニア予防には、良質なタンパク質摂取の他に適度な運動も必要であるとのことでした。血圧管理では、血圧を下げすぎることで、転倒や骨折の危険性が高くなるため、130/80mmHg 未満を目標にし、日頃から血圧を測る習慣を身につけることが重要であるとの話しでした。糖尿病の薬剤管理について、低血糖についての動画を流され、低血糖の症状は自分で気づきにくく、対処が遅れること、高齢者になるほど重症低血糖が増加し、心疾患や認知機能の低下につながるということを学びました。症状の典型的パターンでは、冷や汗・手足の震え・動悸等が起こり、非典型的では、落ち着かない・ふらふらする・認知症のような症状が起こりやすいとの説明がありました。クリニックの外来患者様の中にも、突然、認知症のような症状が現れたため、救急搬送し、低血糖と診断され、治療されたこともあったそうです。低血糖の対処療法として、口から摂取できる人は、甘いジュース等のブドウ糖を飲用し、口から摂取できない人は、唇や歯肉部分にブドウ糖を塗り、かかりつけ医に連絡する等が必要であると話されました。最後に、高齢者シックデイについての説明がありました。シックディとは糖尿病患者が、感染症などによる発熱、下痢、嘔吐や食欲不振のために食事がとれない状態のことであり、普段より、血糖コントロール難しくなっているため、必ずかかりつけ医に受診するように促してほしいとのことでした。 
今回の研修を通じて、糖尿病高齢者のケアには、本人・家族や主治医との連携により、糖尿病だけではなく、日々の食事面や家族の介護力等も含めた生活状態についての情報を共有しておくことが大切であると感じました。さとう先生、遅くまでありがとうございました。
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