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お知らせ

高齢期におけるストマ管理の注意点

 今回も、なるコミにおいて感染対策には万全を期しながら、ハイブリッド方式で開催いたしました。今回は、第3木曜日の定例会の未来塾です。今月のテーマは、「高齢期におけるストーマ管理の注意点」でした。講師は、谷村 尚子先生(訪問看護ステーション誠花 看護師)(以下、先生)からご講義いただきました。今月の参加者は、Zoom参加者:12名(最大)・なるコミ聴講:12名:合計24名でした。
ご参加された皆さま、有難うございました。
 
 今月も、イラストを使用しながら、①ストーマを知る、②ストーマ増設後の身体の変化、③ストーマのセルフケアとストーマ用品の基礎知識、④ストーマ周囲のスキンケア、⑤日常生活を快適に過ごすために、⑥社会福祉制度に分けてご講義していただきました。
ざいました。
 ストーマとは、大腸や小腸などの消化器や尿管などの泌尿器の手術後、腹壁に造られた便や尿の出口(排泄孔)のことであり、消化管を体の外に誘導した消化管ストーマ、尿路を誘導した尿路ストーマに分けられるとのお話がありました。また、ストーマを持っている方のことを《オストメイト》と呼ぶとのことでした。まず、消化管ストーマは、永久的と一時的な造設があり、種類別でも、大腸造設の結腸ストーマ(コロストミー)、小腸(回腸)造設の回腸ストーマ(イレオストミー)に分かれるとの説明がありました。大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)の造設位置により、上行結腸ストーマといった各々の呼び方に変わってくるそうです。次に、尿路ストーマは、尿管を直接腹部に誘導して造設する尿管皮膚廔と回腸の一部を尿管につないで増設する回腸導管、他にも、直接腎盂にカテーテルを挿入し、尿を排泄させる腎瘻や直接下腹部から膀胱にカテーテルを挿入して尿を排出させる膀胱瘻があるとの説明がありました。
 身体の変化として、造設前は、自然に便意や尿意でトイレに行き爽快感や気持ちよさを味わうことができていたが、造設後は、自分の見えるストーマから不随意に尿や便・ガスが排泄され、排泄後の爽快感もなくなり、また排泄習慣やボディイメージも大きく変化するため、容易に自尊心の低下を招きやすいとのことでした。
 ストーマ用品紹介として、ストーマ装具(面板、ストーマ袋)、皮膚保護剤、固定具、粘着剥離剤、洗浄剤、皮膚被膜剤などを写真で示してしてくれました。装具交換の注意点として、食後は腸の動きが活発になり、便が出やすいので、食後を避け、食前や食間に行うことが大切であるとの話しがありました。また、平成23年より、ストーマ及びその周辺の皮膚に異常がないこと等の条件付きではありますが、介護職も行えることになったとの情報紹介がありました。さらに、「ストーマ・イメージアップ・プロジェクト:SIUP」が運営するウェブサイトを用いて、装具交換方法と感染予防対策について、準備から交換後までの一連の流れについてのイラストを示してくれました。
 ストーマ装具の密着部分のスキントラブルとして、発赤、侵軟とびらん、色素脱出、潰瘍、丘疹(きゅうしん)を示され、痛みやかゆみなどを生じるだけでなく、装具の装着が困難となるため予防ケアを行う必要があるとの話がありました。ストーマ周囲皮膚の部位別から考えられる主な皮膚障害の要因の表を示され、一例として、ストーマ接合部からストーマ装具の皮膚保護剤までの近接部範囲では、スキントラブルとして排泄物や腸液の付着による化学的刺激が要因として起こりやすいことが分かりました。装具交換時のスキンケア方法として、皮膚洗浄剤をしっかり泡立て、汚れを包み込むように洗い、十分な微温湯で洗浄成分を洗い流すことであると説明してくれました。
 日常生活を快適に過ごすために注意点として、いくつかご紹介して頂きました。
ⓐ食事と水分については、基本的に食事制限は必要なく、バランスのとれた食事を心がける。ただ肥満は、ストーマからのもれを起こしやすくなるため注意が必要である。特に尿路ストーマの方は、1日1500~2000mlの十分な水分摂取が必要である
ⓑ服薬の際、薬が溶解せずにストーマから排泄されてしまうこともあるため、医師に相談するようにして欲しい。
Ⓒ入浴について、ストーマ造設前の入浴の習慣を維持することが基本であるが、高齢になると毎日入浴しない人もいるため、装具交換日と入浴が同時にできるとよい。
他にも、災害時対策時の非常用持ち出しセットの話等もありました。また、独居・認知症高齢者ものストーマ管理についても、ご講義いただきました。ポイントとして、人の性格、運動機能、社会背景、家族関係、療養環境などの十分なアセスメント、装具選択とケア指導等を挙げられ、認知症高齢者の装具選択例として、剥離刺激が少ない、ストーマを見えないようにする、腹帯使用時には背中側になるように工夫するなどが大切であると話されました。
 社会福祉制度の活用として、いくつかご紹介して頂きました。
永久的なストーマ保有者は「ぼうこう又は直腸機能障害」の場合、身体障害者手帳の取得や日常生活用具の給付としてストーマ用品の給付を受けることができる(所得制限あり)ことがある。他にも市町村の各種サービスを受けることができるため、窓口で相談して欲しいとのことでした。他にも、高額療養費・医療費控除制度のご紹介がありました。
 最後に、先生より、高齢化社会では、ストーマ保有者も高齢化し、独居高齢者や老々介護の社会背景・認知症などにより様々な問題が生じている。そのため、高齢者のストーマ管理には、セルフケア能力・生活背景・家族背景を考慮した援助が求められる。家族の介護負担を軽減も視野に入れ、十分な話し合いのうえで、様々な社会資源や福祉制度を利用しながら、医療と介護でのフォロー体制作りが重要になってくると話されました。
谷村先生、遅くまでありがとうございました。

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