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お知らせ

神経難病在宅のいろは~ALSを中心に~

4月の未来塾も、なるコミにおいて感染対策には万全を期しながら、ハイブリッド方式で開催いたしました。今月のテーマは、「神経難病在宅のいろは」~ALSを中心に~でした。講師は、神崎 和紀先生(たぶせ在宅クリニック)(以下、先生)からご講義いただきました。今月の参加者は、Zoom参加者:19名(最大)・なるコミ聴講:13名:合計32名でした。ご参加された皆さま、有難うございました。

今月も、イラストや写真(掲載許可済み)を使用しながら、①ALSの概要、②ALSの症状に分けてご講義していただきました。
①ALSの歴史として、1869年 フランスのシャルコーによって初めて報告され、ヨーロッパでは「シャルコー病」、アメリカでは「ルー・ゲーリック病」、和歌山では「牟婁(むろ)病」と呼ばれているとご説明がありました。ALSの発症年齢データーより、60歳代の男性が最も多く、20歳代でも発症されどの年齢でも発症する病気であることが理解できました。実際、先生も32歳のALS患者診察を御担当された経験があるそうです。和歌山市でのALS患者数データー(和歌山市保健所集計 指定難病受給者証所持者数(2022年3月末時点)を示され、35万人(和歌山市人口)に対し23名と数少ない病気であるが、医療的・介護的資源を注ぎ込まないと在宅生活が成り立たない大変な病気であることを知って欲しいとのご説明がありました。ALSの経過・予後として、進行し続ける病気で平均寿命は約3年。また治療薬はあるが根治は不能であり、人工呼吸器装着により10~20年以上長生きできる病気でもあると話されました。
②症状として、神経から筋肉への指令が届かなくなり、動かない筋肉が痩せていく病気であり、歩行・座位保持・喋る・呼吸等の日常生活上が行えなくなる病気であるとのことでした。実際の患者様の痩せている手・舌・上半身の写真を示していただきました。特徴として「意思」や「感覚」は悪くならず、コミュニケーションツールを使用しての意思疎通も可能であり、温冷や痛み・痒み等が最後まで保持されることを学びました。また、上下肢・体感・呼吸・球(飲み込み、喋り)別に分類しそれぞれに現れる症状やそれに対する用具やアプリの紹介もして頂きました。例として、足の症状では「よくつまづく」、体感では「歩くときに腰が曲がる」、手や首では「首が持ち上がらない」、「手が上がらない」等の症状が出る。補装具や用具では、車椅子の使用や自宅トイレのリモコン位置を低く改修することもあるそうです。紹介の中で、私が驚いたのは、「しゃべり, 飲み込み」の症状において、「coestation(コエステーション)」という無料で誰でも使用できるアプリがあり、自分の声を登録・録音しておくことで、喋れなくなっても自分の声で日常会話が可能であるということでした。適切なサポートを受けてられていない方は、胃瘻や人工呼吸器、気管切開の提案等で「家族に迷惑はかけられない」と思われ、不安で常に悩み続けている方も多くいるとのことでした。先生は、この病気は「治療法はないし、死ぬのを待つしかない」と思われる人もいるが、実際はやるべき事, 考えることがあまりにも多い。また進行も早いため、常に今後の状態・希望を踏まえた先回り介入が必要である。医療保険・介護保険・障害者総合支援法・民間サポート制度等と連携し介入することが大切であると話されました。
 未来塾参加者に対し、「自身や家族がALSになった際にどのような情報が欲しいか」を問いかけに対し、自宅で最期まで居られるか?制度について知りたい等の意見が挙がりました。最後に、先生より経済的・就労・家族負担・社会参加・趣味等数多くの情報が必要になってくるが全てを網羅しておく必要はない。今回の講座を通じて少しでも知る機会としてもらいたい。また的確な制度利用, 情報提供, 密な連携が療養場所や治療選択に影響し、生活の質が大きく変わることを知ってもらいたいとの先生からご説明がありました。
神崎先生、遅くまでありがとうございました。
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