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お知らせ

非がんの自宅看取りの基本~事例紹介を交えて

 今月は、今年2月のオミクロン株感染拡大により延期した講義を、なるコミにて感染対策に万全を期しながら、ハイブリッド方式で開催いたしました。テーマは、「非がんの自宅看取りの基本~事例紹介を交えて~」でした。講師は、田伏 弘行先生(たぶせ在宅クリニック院長)(以下、先生)からご講義いただきました。今月の参加者は、Zoom参加者:19名(最大)・なるコミ聴講:15名:合計34名でした。
ご参加された皆さま、有難うございました。
 
 今月は、がんを除く日本人の死因上位4疾患の自宅看取りの基本について、イラストや事例紹介を交えながら講義をして頂きました。
 上位4疾患(2020年)とは、心疾患、老衰、肺炎、脳血管疾患の順であり、特徴として以前下位であった老衰が上位に挙がってきていることが理解できました。高齢化社会が進み、老衰という診断が増えたためであるとのことでした。非がんの終末期の判断理由の難しさは、症状が多彩で個々にも差がある、家族の介護力、治療・入院の判断等色々迷う面もあるが、中でも最も難しいのは、予後(寿命)予測であると話されました。がん・非がん・老衰の最期までのADL変化グラフを示され、がんは、急激な変化に対し、老衰は、緩やかな低下を辿っていく、また非がん疾患においては、人によって疾患や症状も様々であるなど、同じ疾患でも進行程度の判断がつきにくいことが理解できました。
心不全、肺炎/COPD(肺気腫/慢性気管支炎)、脳血管疾患、老衰のそれぞれの特徴について説明がありました。
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下することで血液循環が上手く機能しなくなる状態のことであり、不整脈、高血圧、心筋症、虚血性心疾患等様々な原因があるとの話しでした。左右の心不全によって症状出現にも違いがあり、右心臓は体の血液を戻す役目のため、右心不全では血液が体に滞留するため頸椎脈怒張や下腿浮腫が出現する、左心臓は、体に血液を送り出す役目のため、左心不全では体や肺に酸素が行きわたりにくく、肺の酸素が少なくなり労作時息切れ、体のだるさや疲れやすさが出現する可能性が高いと説明していただきました。心不全の経過グラフの中で、時間と共に心臓の動きの悪化により、入退院を繰り返す中でADL低下にもつながっていくことを示されました。
 肺炎の分類として、細菌性・ウイルス性・誤嚥性・間質性があり、また、肺気腫、慢性気管支炎の総称として、慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)があるとの説明がありました。
肺のCT画像で、正常な肺とCOPDの肺を比べることで、明らかな違いを理解できました。
原因は主にタバコによる影響が密接であり、症状として、息切れ・呼吸苦咳・痰・体重減少肺癌が多いことを挙げられました。
脳血管疾患の中の脳卒中の分類について、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のCT画像を用いて、分かりやすく説明していただきました。脳卒中の終末期の死亡原因として、脳卒中の再発、肺炎、がん、心不全などがあるとのことでした。
老衰とは、全身の機能が老化によって衰弱した自然経過の状態であるため、終末期のタイミング、治療介入の余地、目に見える症状緩和の少なさ等、自宅看取りは主治医でも悩むほど難しいとの説明がありました。
在宅での事例紹介として、2事例紹介して頂きました。1事例目は、サ高住入所の90代男性、初回診察時(約4年前)は歩行器歩行可能であった。その後、脳梗塞等により歩行困難となり、また2か月入院したことでベッド上での生活となる。誤嚥性肺炎により、入院ではなく施設で治療をしたいと希望。約2週間後に施設で亡くなられた事例でした。2事例目は、自宅で長女と暮らしている90代女性、初回訪問時は(約1年半前)トイレのみ歩行可能であった。その後、食事量低下からるい瘦が進行し、胸水により呼吸状態低下し入院するも悪化した。本人より「自宅で亡くなりたい」との希望もあり、長女も納得したため、退院し、数日後に自宅で看取った事例でした。
最後に、先生より「非がんの自宅看取りとは、ケースからも分かるように、本人/家族も在宅スタッフも悩むことが多くて難しい。急に方針が変わってもやむを得ないことが多い。結局はケース毎に対応するしかない。本人・家族も含めた他職種連携で看ていくしかない」と話されました。田伏先生、遅くまでありがとうございました。
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