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未来塾

{在宅での認定看護師・特定看護師の役割}

 10月の「医療と介護の未来塾」も、なるコミにて会場およびZoomのハイブリッド方式で開催いたしました。今月のテーマは、「在宅での認定看護師・特定看護師の役割」で、訪問看護リハビリ 手to手 管理者 特定・感染管理認定看護師 太田 岳志 先生よりの講義でした。今月参加者は、なるコミ聴講:9名、Zoom参加者:10名(最大)の合計19名でした。ご参加いただきました皆さま、有難うございました。  

 テーマ別に、①認定・専門看護師とは、②在宅における認定看護師の実践・指導・相談、③特定行為の実践、④在宅における医療安全の確保にわけて説明していただきました。
 ①認定・専門看護師とは
太田先生より、認定看護師と専門看護師についての紹介がありました。認定看護師は、19分野の特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有する者であり、臨床に近く現場で活躍することが求められています。専門看護師は、14分野の特定の看護分野において熟練した看護技術と知識だけでなく、看護研究やよりよい看護実践の仕組み作りなど、看護全体をマネジメントすることが求められています。役割では、認定看護師は、「実践」「指導」「相談」の3つ、特定看護師は、「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の6つの役割に違いがありますが、どちらの資格も、職場全体がより良い看護サービスを提供していけるよう、現場の最前線で状況に応じた 最適な改善策の提案および実行を担う分野に特化した看護師であることを知ってほしいとのことでした。また、太田先生も、感染看護認定看護師を取得されており、前職の病院でも、職種を超え組織横断的にスタッフと関わりをもちながら、感染対策を管理していましたと話されました。
 ②在宅における認定看護師の実践・指導・相談
太田先生が、感染看護認定看護師として実際活動された例を紹介してくれました。
(1)和歌山県よりの依頼で、感染症対策向上研修として介護施設などを約50カ所訪問。
  チェックリストを用いて、施設内を施設スタッフとまわり、感染改善に努める。
(2)訪問研修として地域のデイサービスセンターへ感染対策の指導。
  スタッフやデイの利用者に対し、感染対策の基礎について話、感染予防に努めた。
(3)保健所からの依頼で、新型コロナ感染している施設への患者の状態観察と指導
(4)在宅のケアマネジャーや高齢者施設スタッフを集めて、感染対策の基礎について講
義し、感染対策の向上に努めた。
太田先生より、講義や指導においてはスイスチーズモデルのイラストを用いて、マスク着用、ソーシャルディスタンス、換気などの様々な予防対策を実行することが感染予防効果に繋がっていますと説明していますと紹介してくれました。
 ③特定行為の実践
太田先生より、特定看護師とは、特定行為及び特定行為区分(38行為21区分)の研修を修了した看護師です。また、看護師が実施できる診療補助行為のうち、高度な「特定行為」を、医師があらかじめ示した「手順書」という包括的指示のもと実践していく役割ですと紹介していただきました。太田先生も、呼吸器関連・創傷管理関連・感染に係る薬剤投与関連等、17行為9区分を修了しているそうです。あわせて、診療看護師(NP)について紹介がありました。診療看護師(NP)は、大学院での専門教育を受けた高度実践看護師として位置づけられており、日本NP教育大学院協議会が認定する民間資格が発行されます。また医師サイドの立場に立ち、チーム医療のキーパーソンとして、より主体的な役割を果たしますとの説明がありました。
血流のない壊死組織の除去として、自身の爪が長期間当たっていたことで右足示趾内側に褥瘡が起こった90代の事例を挙げていただきました。医師より、特定行為の対象かどうか、患者の病状の範囲、特定行為実施後に確認すべき事項の有無(バイタルの悪化・施行中の出血等)などクリアすることで、手順書が発行され、病状の範囲内であれば、医師に確認せずに必要な時に必要な処置を患者にタイムリーに実施でき、苦痛等の軽減を速やかに図ることができますと示していただきました。
④在宅における医療安全の確保
「特定行為」については、医行為の侵襲性や難易度が高いため、安全の確保が大切であると話していただきました。
先述の事例:血流のない壊死組織の除去時の注意点としていくつか挙げられました。
(1)利用者・家族に特定行為について説明し、承諾を得る。
(2)出血予防のため、少しずつ繰り返しデブリードマンを実施する。
(3)デブリードマン実施前後で患者・家族に対し起こり得る合併症をわかりやすい言葉で説明する。例:ガーゼ上層迄血液が汚染されることがあれば連絡ください。
(4)担当者や在宅医にデブリードマンを実施したことを報告し、情報共有をする。
太田先生より、件数よりも、なによりも安全が重要だと思っていますとの話がありました。
 最後に、特定看護師は、特定行為だけではなく、研修で臨床病態生理学や臨床薬理学などを学んだことで、より医学的根拠に基づく観察やケアを提供できるようになり、看護師として質が向上する。これらの学びをスタッフ教育に活かすことで部署やスタッフのレベルアップや安心につながると思いますと話されました。また、在宅医に特定行為を知ってもらうことで、患者様・利用者様にも必要な時に必要な処置を行えるのでは考えておりますとのことでした。
太田先生、貴重なご講義大変ありがとうございました。

 今回、認定看護師・特定看護師について学ぶことができました。訪問看護師も参加されており、認定看護師・特定看護師に興味があり今後取得を検討しているので、良い学びとなりましたとの声もありました。ケアマネジャーの方も数名参加されており、担当されている利用者様の有益なケアに繋げていただければと思います。
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