2月「医療と介護の未来塾」も、なるコミにて会場およびZoomのハイブリッド方式で開催いたしました。今月のテーマは、「精神科病院における認知症患者への関わりと在宅支援」~精神科病院で働く精神保健福祉士の立場から~、講師は、講師:宮本病院 医療福祉相談室室長 高垣 明秦 先生よりの講義でした。今月参加者は、なるコミ聴講:22名、Zoom参加者:10名(最大)の合計32名でした。ご参加いただきました皆さま、有難うございました。
テーマ別に、1.宮本病院の取り組み紹介、2.もの忘れ外来の特徴・認知症治療病棟について、3.精神科医療機関の認知症支援の強みと課題にわけてご説明していただきました。
1.宮本病院の取り組み紹介
宮本病院の病床数は、精神科急性期治療病棟41床・認知症治療病棟56床・精神療養病棟120床・精神一般病棟54床の271床あり、他にも、在宅支援として、精神科訪問看護・精神科大規模デイケア・訪問診療(精神科)・和歌山県依存症(ギャンブル・アルコール)
専門医療機関等があります。また近年、アルコール依存症において高齢者の増加が著明で、受診後に認知症状や様々な疾患が判明することも多いですと話されました。また、外来受診は、年々増加傾向で、特に気分障害と認知症の受診比率が多く、新規外来受診者の3割以上が認知症もしくは加齢に伴う何らかの精神症状を有しています。認知症における相談経路では、①家族(息子・娘)、②施設職員等(ケアマネ含む)、③その他(包括・行政など)の順となっていますとのことでした。入院では、圧倒的に即日対応が多く、警察や消防からの相談も年々増加していますとのお話がありました。精神科病院について、関係機関やご家族様と話をしていると、身体拘束・部屋に閉じ込める・大量服薬で寝たきりにさせる等を行うイメージが未だもっておられ、宮本病院側からも、もっと地域に出向くことが大切であると感じさせられますと話されました。
2.もの忘れ外来の特徴・認知症治療病棟
宮本病院では、ストレス等からの不安や苦しみを軽減する一般外来に加え、ギャンブル・アルコール・女性等の専門外来も行っています。もの忘れ外来もその一つで、認知症・加齢よる精神科疾患疑い、せん妄や物盗られ妄想等の症状への治療を受けたい方等が対象です。また、ご家族様より、認知症状で受診したいが待てないという声もあったため、予約制を導入し安心して検査や治療をできるようにしましたとのお話がありました。入院では、これまで若い精神疾患の方と認知症高齢者が同じ病棟でしたが、認知症治療に特化した病棟として、令和8年2月より和歌山県初の認知症治療病棟を開設しました。認知症状に伴う「不眠」「徘徊」「興奮・易怒性」などで、日常生活を送ることに支障を来している方に対し、薬物治療・リハビリ・退院支援を行い、安心して在宅や施設で日常生活を送っていただくことを見据えています。また、本来の精神科病院と認知症治療病棟の二本柱で、本人様の症状に応じた適切な対応ができるようになりましたと話されました。高垣先生より、ライフステージでのメンタルヘルスに対し、全世代を通して精神科かかりつけ医を持つことを広めていく国の動きもあることを知っておいてほしいとのことでした。
3.精神科医療機関の認知症支援の強みと課題
精神科医療機関の認知症支援の強みは、宮本病院 院長 寺田尚子 先生よりご講義いただきました。精神科医の強みとして、認知症状の進行での周辺症状の悪化に対し、抗認知症薬と抗精神病薬等を併用しながら、症状を緩和することです。また、入院期間中も、看護師による食事・睡眠等の生活状況、妄想・興奮等のこまめな観察状況に応じて、薬物も低量から始めていくようにしていますが、転倒のリスクや内科疾患により、近隣の病院とも連携を図っています。相談ケースとして、①高齢者施設スタッフからの周辺症状悪化に対する入院相談、②包括支援センター、ケアマネジャーからの在宅生活されている方の入院相談が多いです。特に②に関しては、独居生活の方が多く、ご家族様のご意向や本人の状態を考慮しながら、生活の場所を検討しています。最近は、施設や自宅への訪問診療をはじめているため、状態に応じて様々な形で精神科医療機関として関わっていければと話されました。
課題については、高垣先生よりご講義いただきました。精神科医療と介護保険がお互いに役割や方向性等をしることが大事であります。若い患者様が高齢者になる、認知症と障害者の方が一緒に生活されているなど世帯全体を支援していくには、様々な関係機関とつながることが必要であると感じています。先述したように精神科病院に対し、マイナスのイメージをもたれているご家族様も多く、受診までのハードルが高いと感じています。ご家族様に身近に寄り添っているケアマネジャー等の支援者の方々が、精神科医療機関について知ってもらうことで、受診や相談の後押しを行ってもらうことが必要であると考えています。
最後にまとめとして、精神科医療機関への入院に関し、あらゆるサービスの利用や近隣の苦情、警察の介入等の結果、最後の砦として入院相談にみえられる支援者も多いです。退院後も在宅でその人らしい生活をおくることを視点に考えた場合、医療機関側としても早期介入を視野に考えています。支援者側も、精神科病院を資源の一つとして知っておいてほしいです。早期の相談により様々な対応策も検討できます。精神科医療機関として、治療だけでなく訪問診療というアフターフォロー通じて多職種との様々な連携を継続的に行っていきたいと考えていますとのお話がありました。
高垣先生、遅くまで貴重なご講義ありがとうございました。
寺田 尚子先生、精神科医療機関の認知症支援の強み、大変分かりやすかったです。ありがとうございました。
今回、認知症治療病棟が2月より開院されるとのことで、参加者の皆さまにも資源の一つとして知ってもらいたいと思い、今回のテーマとさせていただきました。早期介入により様々な対応策を共に考えられる連携先として、お互いに気軽に相談できる関係機関になってもらえればと思います。