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お知らせ

「在宅気管カニューレ管理について」

6月の未来塾も、なるコミにおいて感染対策には十分注意しながら、ハイブリッド方式で開催いたしました。今月のテーマは、「在宅気管カニューレ管理について」でした。講師は、酒井 章博先生(さかい耳鼻咽喉科クリニック院長)(以下、先生)からご講義いただきました。今月の参加者は、Zoom参加者:12名(最大)・なるコミ聴講:10名:合計22名でした。ご参加された皆さま、有難うございました。

今月も、イラストや動画を使用しながら、気管孔の種類・気管カニューレタイプ・トラブルと対処法についてご講義していただきました。
 気管孔の種類として、気管を露出し切開する一般の気管孔と喉頭癌、咽頭癌などの治療のため喉頭摘出や誤嚥を防止するため喉頭気管分離を行い、気管を頚部の皮膚に縫合して造る永久気管孔があるとの説明がありました。
 気管カニューレタイプとして、ⓐカフ付きとカフなし、ⓑ単管と複管、Ⓒ特殊チューブのレティナやアジャストフィットについてご講義いただきました。
ⓐカフとは、カニューレの先端近くにある風船のことで、膨らませ気管とカニューレの隙間をなくすことができる。メリットとして誤嚥やエアリークの防止、カフ上の吸引。リスクとして、カフ圧が高くしすぎると気管壁を圧迫し、壊死を引き起こすこともある。小児や気管孔が維持されている際は、カフなしでも問題ないとの話がありました。
ⓑ単管とは、内筒がない通常の気管カニューレであり、内筒がある2重構造の気管カニューレを複管というとのことでした。どちらも発声できる側孔がついているものもあるとの話がありました。カニューレ内にも痰が多い方は複管を使用することが多く、内筒のみ洗浄や交換できるので管理しやすいとの説明がありました。他にも高研(メーカー名)式カニューレを紹介していただきました。気管孔が安定し、人工呼吸器の装着の必要がない方で、痰の吸引のみを行いたい方は高研式に変更することもある。また挿入や抜管等のカニューレ交換も行いやすく家族でも交換ができるため、自宅での療養管理が行いやすくなるとの説明がありました。スピーチタイプとして発声可能なワンウェイキャップ、ワンウェイバルブのご説明がありました。高研式カニューレに装着し、本人の呼吸状態や日中・夜間等の生活に合わせて使用を変えているとのことでした。
Ⓒレティナは、気管孔開存が目的であり、気管内には管を入れないので患者への刺激が少なく、またバルブ(ワンウェイキャップ、ワンウェイバルブ)装着により発声可能である。アジャストフィットは、気管内挿入長を変えられ、気管内肉芽を超えて挿入したい場合や気管の走行がまっすぐでない場合に用いられるとのご紹介がありました。
 肉芽(気管孔・内)、挿管・抜管時のトラブル原因と対処方法についてご説明がありました。肉芽(気管孔・内)ができる原因としては、一定箇所への圧が問題であり、対処としてガーゼ等を用いてカニューレの挿入角度をかえることが大切である。肉芽治療としてステロイド軟こう塗布することが最も有効であると話されました。挿管・抜管困難の原因として、気管孔の狭窄を挙げられ、対処として挿入時はサイズを小さめに変更すること。抜管時は、長期留置しておくことで困難になるため、交換期間を短期にする必要があるとのことでした。カニューレ挿入直後は、1週間毎の交換が必要になってくるが、在宅療養されている患者様で状態が安定している方は、1か月後毎の交換でも問題なく、先生のクリニックでも同様に行っているとのことでした。気管カニューレ抜管後において、通常は孔が自然に閉じられるが、まれに小穿孔残存として小さい穴が閉じずに残ってしまうことがあり、孔から痰等の排出による感染リスクの高まりや空気の漏れで発声等がうまく行えないこともあるため、形成外科的処置が必ず必要であるとのことでした。
最後に、先生の経験より、カニューレ選択については、目的をはっきりさせて選択し、できるだけ、患者に負担の少ないカニューレを選択することが大切である。また、カニューレの位置の確認時においても、実際の在宅時での状態や姿勢で検査を行うことで、本人に適したカニューレが選択でき、生活の質の向上に向けられると話されました。
酒井先生、遅くまでありがとうございました。
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