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お知らせ

在宅における感染対策

10月の未来塾も、感染対策には十分注意しながら、ハイブリッド方式で開催いたしました。今月のテーマは、「在宅における感染対策」でした。講師は、木田 真紀先生(トータルケア まきクリニック 院長)(以下、先生)からご講義いただきました。今月の参加者は、Zoom参加者:11名(最大)・なるコミ聴講:12名:合計23名でした。ご参加いただきました皆さま、有難うございました。

今月も、イラストを用いながら、①感染対策における考え方、②感染経路とその特徴、③予防策に分けてわかりやすくご講義いただきました。
① 感染対策における考え方は、「在宅に関わらず病院や施設でも同じである。在宅での利点としては、自宅が外の社会と遮断された空間であり、手袋やガウンを訪問先で脱ぎ捨てるため、外に伝播する可能性が低いと考えている。しかしながら、実際、デイサービス等で感染兆候のない利用者等から感染したケースも多々報告されている。そのため、日常の感染対策について改めて学ぶことが大切である」とのお話がありました。感染対策のポイントⓐとして、敵が何者かを知る。感染について、どのような病原菌(ウイルス・細菌等)が、どのような経路で、どのように伝染するかを知ることが大切である。感染対策のポイントⓑとして、患者の背景を知る。患者本人の病歴・通院歴・入院歴、デイサービス・ショートステイの利用の有無、家族構成等を知りながら、どういったことが考えられるかの範囲を狭め、原因を探ることが大切であるとの説明がありました。高齢者の場合、いつもよりぼんやりとしているが発熱なく、CT検査も異常がない。抗原検査で、初めてインフルエンザ陽性と判明したというケースは少なくない。重要なことは、高齢者は発熱しないときがある。「いつもと様子がちがう」と認知しながら、関わってもらいたいとのことでした。
② 感染経路は主に、飛沫・飛沫核・埃を直接吸い込む空気感染(麻しん、水痘、結核)、飛沫を直接吸い込むもしくは飛沫が粘膜(目、鼻)に付着する飛沫感染(インフルエンザ、風しん、百日咳、流行性耳下腺炎)、病原体に汚染されたものに触ることによって起こる接触感染があり、他にも経口感染(食中毒等)、粘膜感染(プール等)、経皮感染、母子感染等があるとの話がありました。飛沫、飛沫核、エアロゾルのサイズや特徴・マスク種類のそれぞれの違いを示され、飛沫:5μm以上・水分を含み1-2m飛ぶが重いので落下・サージカルマスク対応、飛沫核:4μm以下・飛沫から水分が蒸発、軽いので長期間浮遊・N95マスク対応、エアロゾル:0.001-100μm・2-3μm以下は空中で数時間漂う・N95マスク対応であることが理解できました。また、接触感染の特徴は、汚れた手で眼、鼻、口、傷口などを触り、体内に侵入・ケア時は手袋やガウンを着用し、手指衛生が必須である。共用タオルは使用せず、ペーパータオルの使用が望ましいとの説明がありました。
③ 予防策として、日常的な感染対策としてスタンダードプリコーション(標準予防策)の紹介をしていただきました。今回のイラストでは、特に手指衛生や個人防護具(PPE)について、さらに、「介護職員のためのそうだったのか!感染対策!」のサイトを張り付けていただくことで、何度も見直しができるように示していただきました。先生より、スタンダードプリコーション(標準予防策)の中で最も盲点となっているのが手指衛生の「1ケア 1手洗い」である。オムツ交換後の着脱介助や食事介助が感染拡大つながっている。「1ケア 1手洗い」を習慣づけることで「手洗い」なしでは次のケアに移れなくなるまで、直ぐにでも実施してもらいたいとの話がありました。また、病院での環境調査をした際に、スタッフがアルコール等で手指衛生をしていたにもかかわらず、結果として部屋のモニターアラーム停止ボタンに、最も多くのウイルスや細菌が付着していた経験談を話してくれました。個人防護具(PPE)については、着る時よりも脱ぐときに注意をしてもらいたい。マスクを外す際には、表面には触れず、紐からそっと外す。手袋も外側の汚い部分が内側になるように包み込む。ガウンも同様に外側が内側になるように丸め込んで捨てる。その際、体から離した状態で行うことが有効的である。全て脱ぐ際は、1つの行為ごとに手指衛生をはさむことが非常に重要であるとの説明がありました。
 また、清潔なエリアと感染のエリアを区域分けするゾーニングについて、説明していただきました。区域分けについては、:レッドゾーン:ウイルスが存在する区域、イエローゾーン:防護具を脱ぐ場所・ウイルスが存在する可能性がある区域、グリーンゾーン:ウイルスが存在しない区域として分け、分かりやすく施設の平面図を示していただきました。先生より、在宅では、感染者が生活しているため、自宅全体が厳密には、レッドゾーンであるが、訪問先と地域住民との関係性なども考慮し、玄関をイエローゾーンと考え、家族に出てこないように指示し、PPEの着脱を行うようにしているとのことでした。
 最後に、在宅と施設での感染対策における区別はない。重要なことは、誰が感染していても大丈夫なようにスタンダードプリコーション(標準予防策)で対応する。感染の早期発見として、感染源の特定と遮断経路を見つける。感染時はゾーニング(区域分け)と適切な個人防護が重要であり、特に脱ぐ際は細心の注意を行うことが大切であるとまとめていただきました。
 木田 真紀先生、貴重なご講義をありがとうございました。
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